テニスでは最初の動きほど重要だと考えています。今回はフォアハンドストロークにおける最初の動きであるテイクバックについて、私のおすすめをお伝えしたいと思います。
細かく見るとトッププロの中でも様々異なるテイクバックを行っており、それぞれメリット・デメリットがあります。その為、このテイクバックが正解というのはありませんが、私のおすすめのテイクバックはずばり『ロジャー・フェデラー選手』です。
説明は後にして、まずは見てみましょう!
ロジャー・フェデラー選手
順を追って説明していきます。
① ユニットターンを行う(0:35~0:39)
ボールが向かってくると認められた瞬間に行います。
ここは重要で一般プレーヤーはタイミングが遅れる場合が多いです。
具体的には右股関節から身体の方向を打球方向に対して45°程度(スタンスや状況で異なります)回して準備します。
同時に左手でスロート部分を持ち、右肩部分までもっていきます。この時ラケットヘッドは立ちつつ、打球方向側に残します。左手を右肩部分までもっていくことによって、自然に肩が入ります。
② テイクバックを行う(0:40~0:43)
左手はラケットを離しつつ、肩をさらにしっかり入れつつ開きを抑えるために、打球方向に対して90°の方向に伸ばしていきます。
右手は肘をさらに後方に引くことでテイクバックの最終到達点に達し、その後ラケットの面を地面側に伏せながら肘を伸ばしてラケットを落としていきます。
ここまでがテイクバックの動作です。次にポイントについて説明していきます。
Ⅰ. ラケットは常に身体の前側に位置する
1度ラケットが身体の後ろ側に移動してしまうと、この後のフォワードスイングからインパクトの難易度が上がります。人は身体の前側の感覚は強いですが、後側の感覚は極端に弱いためです。また、インパクトまでの物理的な距離も身体の後ろ側へ引いてしまうと大きくなります。
Ⅱ. 右手の腕力を殆ど使わない
左手で持って右肩位置まで移動し、ラケット面を伏せながら落としていく動作はラケットを支える力だけで、腕力を殆ど使っていません。その為、この後のスイングで腕力を使うことができます。
※このラケット面を伏せながら落としていく動作の肘の状態により、その後の上腕と前腕の使いやすさが変わります。
Ⅲ. 手や腕で引かない
ボディーターンで引くことにより、素早いテイクバックが可能になります。
Ⅳ. ラケットヘッドは打球方向になるべく残す
ラケットヘッドを打球方向に残すことで、ポイントⅠのラケットを身体の前側にキープすることや今後のスイング時の負荷が減少します(物理的なラケットヘッドの位置から)。
それではロジャー・フェデラー選手との違いという部分に着目して、他のプロのテイクバックも見ていきましょう。
錦織圭選手
フェデラー選手と比べると右肘の伸びが少ないです。右肘の伸びが少ない分、上腕より前腕を使いやすい形と言えます。但し、身体の回転をメインに使ってパワーを出しているので、威力はしっかり出ています。
右脇の空き具合が小さく肘が低い位置にあり、右手の最高到達の高さが右肩より下です。フェデラー選手は右肩ぐらいの高さまで上がります。
メリットとしては、コンパクトでシンプルなため、テイクバックのセットが最短で完了することが期待できます。その為、厳しい場面でも振り遅れが少ないと考えられます。デメリットとしては、上腕が使い難いため、威力は若干劣る部分があると考えられます。
ノバク・ジョコビッチ選手
フェデラー選手と比べるとサーキュラー(上方向へ回して落とす)の動きが大きく、右手の最高到達の高さが耳ぐらいまで達しています。
サーキュラーは威力を出しやすい分、ボールを捕らえる難易度は少し上がります。但し、グリップが厚くトップスピンを多くかけることで、安定度を増していると考えられます。
また、右肘は少し曲がっていますが、上腕を使える範囲の曲がりであり、しっかり上腕も使えています。
ドミニク・ティエム選手
ティエム選手はジョコビッチ選手よりもさらにサーキュラーの動きが大きく、右手の最高到達の高さが頭の上ぐらいまで達するのが特徴的です。ここまで高いテイクバックは腕力を使いますが、その負荷を減らすためにラケットヘッドを打球方向に残す動きを大きくしていると考えられます。
大きいサーキュラーで威力を出しやすい分、ボールを捕らえる難易度が上がります。トップスピンを多くかけることで、安定度を増していると考えられます。
シモナ・ハレプ選手
ハレプ選手は典型的なサーキュラーのテイクバックですが、ラケットヘッドを残す動きをとっていないので、身体の背面側までラケット面がもっていかれており、ボールを捕らえる難易度が上がっていると考えられます。その分は素晴らしいフットワークでカバーしていると思います。
いかがだったでしょうか?それぞれの選手で共通点・異なる点がありますが、色々試して自身に合うフォームを見つけてみてください。その際は自身のフォームを動画に撮ってみることをおすすめします。実際に撮ってみるとイメージしている動きとかなり違うことが多いです(私もそうでした)。
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