
フォワードスイングはテイクバック後からボールを捕らえるインパクトまでの動作を指します。
瞬間的な動きのため意識することが難しい部分ですが、『ロジャー・フェデラー選手』の動きをお手本に流れとポイントを説明していきます。
なお、「フォアハンドストロークの色々なテイクバックと私のおすすめ!」を見ていない場合は、先にこちらを見てください。(前の動作ができていないと次の動作へ繋がらないため)
フォワードスイング(0:43.5 ~ 0:44) ※一瞬ですが
<左手側>
左肩を打球正面方向に開きつつ、左手は肘を曲げていき、上腕の外旋および前腕は回外します。
<右手側>
右手はラケット面をボールの軌道上に近づける動作になりますが、実際のラケットヘッドは意図的ではなく、自然に後方(打球方向の反対)に置いてかれます。この動きはグリップ部分が先に進み、重いラケットヘッドが残るからです。
その動作から上腕の外旋、前腕の回外、手首の背屈の動きが発生し、ラケット面はボールの打つ面が地面方向から地面から垂直方向に開かれ、遅れてラケットヘッドが打球する点についてくることで打球方向にラケット面が作られます。
フォワードスイング後半としてインパクトに向けて上腕の内旋をメインにスイングスピードを加速させます。
ここまでがフォワードスイングの動作です。
Ⅰ. 左腕でスイングをリードする
右利きのフォアハンドでは、左腕の動きが右手・右肩のスムーズな動きを導く上で非常に重要です。
具体的には、フォワードスイングの始動時、「左肩を打球方向へ開きながら、左肘を曲げて体側へ引きつける動き」を意識的に行います。この時、左の上腕は外旋し、前腕は回外します。
この左腕の動きが、体幹の回転を促し、連動して右肩が前へ出てくるための「きっかけ」となります。左腕の動きがある場合とない場合で、右腕の振りやすさがどう変わるか、ぜひ一度体感してみてください。
Ⅱ. 前腕の力は「最後のとっておき」にする
スイングの主役は体幹や肩周りの大きな筋肉であり、前腕の力は最小限に留めるのがコツです。
そのために重要なのが、テイクバックの最終局面で「ラケット面を地面に向け、肘がある程度伸びた状態でラケットヘッドを落とす(ラケットダウン)」ことです。肘が大きく曲がったままだと、どうしても肘を支点に前腕の力で振りたくなってしまいます。
前腕は、ラケットを支え、スイングの遠心力に耐えるために使うのが基本です。体を回転させ、肩と上腕の力でラケットをインパクトまで運び、ボールを捉える最後の瞬間に微調整で使う――。前腕は、いわば「最後のとっておき」という意識でいると、力みのない効率的なスイングに繋がります。
Ⅲ. 手首を脱力し、「ヘッドの遅れ」を作る
手首は脱力した状態に保ちます。それにより、フォワードスイングの前半で、次のような一連の動きが自然に引き起こされます。
まず、腕全体でラケットをボールの軌道に乗せようとすると、重いラケットヘッドは慣性によって後方(打球方向と反対)に自然と取り残されます。これは、グリップ側が先行して動くために起こる「ラケットヘッドの遅れ」という現象です。
この「遅れ」が引き金となり、上腕の外旋、前腕の回外、そして手首の背屈といった連動した動きが生まれます。その結果、打球面は地面方向から徐々に起き上がり、インパクトに向けて最適な角度にセットされます。
フォワードスイングの前半でこのように手首が背屈した状態が作られることで、スイングの助走距離(スイングアーク)が十分に確保されます。そして、それが後半の上腕内旋を主軸とした爆発的な加速に繋がり、ラケットヘッドを鋭く走らせることを可能にするのです。
Ⅳ. スイングは「急がば回れ」で加速する
テイクバックが完了した位置から、いきなり全力でスイングを始めてはいけません。
急に力を入れると、腕が体から離れた位置で力んでしまい、肩関節に不自然な負荷がかかります。その結果、胸(大胸筋)や肩(三角筋)といった本来使うべき大きな筋肉の力を、スイングに活かせなくなってしまいます。
意識としては、テイクバック完了後はまず「ゆっくり」腕を体の正面側まで移動させ、そこからインパクトに向けて一気に加速させるイメージです。この「タメ」の時間が、大きな筋肉を使う準備時間となり、結果的に最大のスイングスピードを生み出します。
以上のポイントを意識することで、上級者のように「軽く振っているように見えるのに、ボールは力強く飛んでいく」スイングに近づけるはずです。ぜひ試してみてください!
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