
各メーカーから様々なテニスボールが販売されており、「どれを選べばいいか分からない」と悩む方も多いでしょう。
本記事では、テニスボールの基本構造から種類と特徴を徹底解説し、あなたのテニススタイル(試合、練習、レジャー)に合わせた最適なボールの選び方をお伝えします。
1. テニスボールの基礎知識:2つの主要な「種類」と「フェルト」
硬式テニスボールは、主にボール内部の構造によって「プレッシャーライズドボール」と「ノンプレッシャーボール」の2種類に分けられます。また、ボールの表面を覆うフェルトにも種類があり、それぞれ特性が異なります。
1-1. 競技志向向け|プレッシャーライズドボール(高圧ボール)
プレッシャーライズドボールは、内部に空気圧を高めるためのガスが封入されているのが最大の特徴です。
- 特徴: 内部の空気圧により、爽快で本格的な打球感と高い反発力を生み出します。
- 用途: 公式な競技・試合のほとんどで採用されており、一般的に大会に出るプレイヤーの練習球として主流です。
- パッケージ: 中身の空気圧を保つため、ボトル型のパッケージで密閉されて販売されます。
- 懸念点: 開封後、使用するにつれて内部のガスが徐々に抜け、弾みが悪くなります。試合と同じ打球感を維持するには、定期的な買い替えが必要です。
1-2. 耐久性・レジャー向け|ノンプレッシャーボール(低圧ボール)
ノンプレッシャーボールは、内部にガスが入っておらず、厚めのゴム自体が持つ弾力のみで弾むタイプです。
- 特徴: プレッシャーボールよりもゴムが厚く、比較的重量があり、打球感は硬めです。
- 用途: レジャーや、久しぶりにテニスを始める方の練習におすすめです。
- パッケージ: 密閉の必要がないため、ビニール製ケースなどで販売されます。
- メリット: 価格が比較的安価で耐久性に優れているため、ゴムやフェルトが劣化するまで長く使え、コストパフォーマンスに優れます。
2. コントロールと耐久性を左右する「フェルトの種類」
テニスボールの表面を覆うフェルトには、主に「ウーブンフェルト」と「ニードルフェルト」の2種類があり、打球感や耐久性に大きく影響します。
2-1. 公式球に多い|ウーブンフェルト(Woven Felt)
糸を細かく織り込んで作られており、わずかな毛羽立ちが特徴です。
- 特性: 毛羽立ちが空気抵抗を生み出すため、ボールの軌道や回転をコントロールしやすい特性があります。プレイヤーの意図を正確に伝えられるため、公式試合球やトーナメント球に採用されます。
- 耐久性: 天然素材のウールが多く使われており、打つほどに毛が抜けやすく耐久性はニードルフェルトに劣ります。
2-2. 練習球に最適|ニードルフェルト(Needle Felt)
繊維を絡めて埋め込む製法で作られたフェルトです。
- 特性: ウーブンフェルトよりも耐久性が高く、フェルトが抜けにくい設計で、性能が長持ちします。主に練習球やテニススクールでの使用に適しています。
- 耐久性: ウーブンフェルトより優れており、コストを抑えて長く練習したい場合に最適です。
3. テニスボールの規格(ITF基準)
ITF(国際テニス連盟)は、テニスボールの色、サイズ、重量、反発力に厳格な規格を定めています。
| 規格項目 | ITF基準 |
|---|---|
| 色 | 白色または黄色 |
| 重量 | 56.0g~59.4g |
| 直径 | 66.54cm~6.86cm |
| 反発力 | 254㎝(100インチ)から落下させ、134.62~147.32㎝の間でバウンドすること |
このように国際的な規格は定められているものの、大きさ、質量、弾み方には一定の幅が認められています。各メーカーはこの許容範囲の中で、独自の技術を活かしたボールを開発しています。
4. 失敗しないテニスボールの選び方【用途別・ニーズ別】
テニスボールに求める要素は人によって異なります。「耐久性」「価格」「打感」「弾み方」など、重視するポイントを決めれば、ボール選びは格段に楽になります。
4-1. 試合に出る人:大会の公式球・試合球
- 選択基準: 試合で使われるボールは、高品質なプレッシャーライズドボール(ウーブンフェルトが主流)です。
- おすすめ: 出場する大会の試合球を普段の練習から使用することを強く推奨します。これにより、違和感なく本番に臨むことができます。また、普段から様々な種類のボールで練習し、適応力を上げておくのも有効です。
- 特徴: 練習球に比べ高品質ですが、耐久性は長期間の使用を想定していないため、特別高くないことが多いです。
以下は試合でよく利用されるボールをご紹介します。
【DUNLOP】FORT(フォート)
打球感:柔らかめ、球速:遅め、耐久性:標準
・日本国内では1番利用されている
・全日本テニス選手権で使用されている
・ウーブンフェルト
【YONEX】TOUR PLATINUM(ツアー プラチナム)
打球感:やや硬め、球速:速め、耐久性:標準
・2023年毎日テニス選手権の試合球
・ウーブンフェルト
【HEAD】TOUR XT(ツアー エックスティー)
打球感:柔らかめ、球速:遅め、耐久性:標準
・全日本学生テニス選手権大会(インカレ)のオフィシャル大会使用球
・ウーブンフェルト
【Wilson】US OPEN EXTRA DUTY(US オープン エクストラデューティー)
打球感:硬め、球速:速め、耐久性:標準
・高校体育連盟のオフィシャル大会使用球
・ウーブンフェルト
【TECNIFIBRE】X-ONE(エックス-ワン)
打球感:硬め、球速:速め、耐久性:標準
・ウーブンフェルト
4-2. コスパ重視:継続的な練習球
テニスを継続的に楽しむなら、練習球に分類されるプレッシャーライズドボールがおすすめです。
練習球は試合球と比べ品質は若干劣りますが、ボール1個あたりの価格が抑えられており、非常にコストパフォーマンスに優れています。
パッケージは4個入りのプラスチック製ボトルに密閉されているものが多いです。
練習球に分類されるものにはウーブンフェルトとニードルフェルトがありますので、それぞれご紹介します。
<ウーブンフェルトの練習球>
【DUNLOP】St.JAMES(セント・ジェームス)
打球感:柔らかめ、球速:遅め、耐久性:やや高い
・ウーブンフェルト
・フェルトの耐久性はやや高い ※ウーブンフェルトだが他社よりやや高く感じる
【DUNLOP】St.JAMES PREMIUM(セント・ジェームス・プレミアム)
打球感:柔らかめ、球速:遅め、耐久性:やや高い
・【DUNLOP】St.JAMES(セント・ジェームス)と殆ど打球感は変わらないが、快適な打球感を長く持続する。
・フェルトはSt.JAMESと同様だが、タイヤにも使われる特殊鉱物「扁平タルク」を採用し、内圧の保持、コアゴムの補強効果が向上。
・練習球の中では比較的価格が高め
・ウーブンフェルト
・フェルトの耐久性はやや高い(以下画像は壁打ちを1時間ぐらい実施したBefore After。空気圧は問題なかった) ※ウーブンフェルトだが他社よりやや高く感じる


【YONEX】TOUR(ツアー)
打球感:少し重いが柔らかい、球速:遅め、耐久性:標準
・ウーブンフェルト
・フェルトの耐久性は標準(以下画像は壁打ちを1時間ぐらい実施したBefore After。空気圧は問題なかった)
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【HEAD】PRO(プロ)
打球感:少し軽いが硬さは標準、球速:標準、耐久性:標準
・価格面と耐久面からコスパが高い
・少し軽い打感が特徴
・ウーブンフェルト
・フェルトの耐久性は標準(以下画像は壁打ちを1時間ぐらい実施したBefore After。空気圧は問題なかった)
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【Wilson】TOUR STANDARD(ツアー スタンダード)
打球感:硬め、球速:速め、耐久性:標準
・容器のキャップ部分がおもしろい。(上蓋がフレームキャップでボールがでない仕組み)
・ウーブンフェルト
・フェルトの劣化はやや早く感じる(以下画像は壁打ちを1時間ぐらい実施したBefore After。空気圧は問題なかった)
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【TECNIFIBRE】COURT(コート)
打球感:やや柔らかめ、球速:やや遅め、耐久性:標準
・価格面と耐久面からコスパが高い
・バウンドが少し弱い感じがあった
・ウーブンフェルト
・フェルトの耐久性は標準(以下画像は壁打ちを1時間ぐらい実施したBefore After。空気圧は問題なかった)
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<ニードルフェルトの練習球>
【DUNLOP】HD
打球感:少し重い、球速:標準、耐久性:高い
・価格面と耐久面からコスパが高い
・「DANLOP FORT」と比較すると少し重い打球感
・ニードルフェルト
・フェルトの耐久性はかなり高い(以下画像は壁打ちを1時間ぐらい実施したBefore After。空気圧は問題なかった)


【YONEX】CHAMPIONSHIP(チャンピオンシップ)
打球感:少し重く硬い、球速:標準、耐久性:高い
・ニードルフェルト
・フェルトの耐久性は高い(以下画像は壁打ちを1時間ぐらい実施したBefore After。空気圧は問題なかった)


【HEAD】CP(シーピー)
打球感:少し軽いが硬さは標準、球速:速い、耐久性:高い+
・価格面と耐久面からコスパが高い
・球速が速めなのとバウンドが高め
・ニードルフェルト
・フェルトの耐久性はかなり高い(以下画像は壁打ちを1時間ぐらい実施したBefore After。空気圧は問題なかった)
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【TECNIFIBRE】NFX(エヌエフエックス)
打球感:硬め、球速:速め、耐久性:高い
・価格面と耐久面からコスパが高い
・扱っていないお店が結構ある
・ニードルフェルト
4-3. 耐久性重視:レジャー・数ヶ月単位での使用
- 選択基準: ノンプレッシャーボールが最高のコストパフォーマンスを発揮します。
- メリット: 長期間使用しない期間があっても性能劣化が少なく、急なレジャーにも対応できます。
【YONEX】NP
【SRIXON】LP
【CALFLEX】LB
4-4. キッズ・ジュニア用ボール
子どもが硬式テニスをプレイするときには、子どもの身長や力に合った大きさ・反発力になっているボールがあり、大きさ・反発力は色によって決まりがあります。
これは「PLAY+STAY(プレイ&ステイ)」と呼ばれ、ITF(国際テニス連盟)が子供の成長やレベルに合わせたボール、ラケット、コートサイズを世界基準で定め、段階的にレベルアップをはかる目的で作られたものになります。
レッドボール
飛び:75%減
直径:7.1 ~ 8.0㎝
重さ:36.0 ~ 46.9g
年齢目安:3~8歳
オレンジボール
飛び:50%減
直径:6.3 ~ 6.5㎝
重さ:40.0 ~ 45.0g
年齢目安:7~11歳
グリーンボール
飛び:25%減
直径:6.3 ~ 6.5㎝
重さ:47.0 ~ 51.5g
年齢目安:8歳以上
5. まとめ
テニスボールは、あなたの目的によって最適なものが決まります。
あなたのテニスライフがより豊かになるよう、ぜひこのガイドを参考に最適なテニスボールを見つけてください。


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